潜在意識・催眠術・本当の自分

23-10 | 人生の目的が見つかった—Gさんの物語

Gさんは38歳。キャリアの中盤で、ふと「このままでいいのか」という問いに襲われた。

職位も給与も悪くない。でも「何のために働いているのか」がわからない。朝起きて会社に行く。タスクをこなす。家に帰る。その繰り返しの中に「意味」を感じることができなくなっていた。

「人生、何のためにあるのかわからないんです」

カウンセリングでそう言った彼の表情は、虚ろだった。

催眠セッションを通じて、その虚無感の根を探っていった。

Gさんの人生は、常に「外部からの期待」に駆動されていた。親は「いい企業に入りなさい」と言った。会社は「昇進を目指しなさい」と言った。社会は「成功することが価値だ」と言った。

そこに「自分は何がしたいのか」という問いを挟む余地はなかった。Gさんは、与えられたルールの中で、最適に行動してきただけだ。その結果が「今」だ。

でも「今」は、虚無としかいいようがない。

セッションでは、催眠状態でGさんに「自由に何をしたいのか」という問いを投げかけ続けた。

最初、彼は答えられなかった。何十年も「自分は何がしたいのか」を問うことなく生きてきたから。でも、セッションを重ねるごとに「何か」が顔を出し始めた。

それは、子ども時代の思い出だった。Gさんが小学生の時、一度だけ社会科の研究発表で、自分で選んだテーマを探求したことがあるという。その時、彼は夢中だった。眠るのも忘れて、本を読みあさり、資料を集めた。その時の充実感。その時の「生きている実感」。

それが、彼の原点だった。でも、その後、進学受験があり、キャリアの選択があり、その原点は埋没していった。

催眠セッションを通じて、その原点が呼び覚まされ始めたのだ。

「僕は、人間の成長に関わりたいんです。教育に関わりたい」

数回目のセッションで、Gさんがそう言った。その時、彼の目は輝いていた。

「子どもたちが何かを発見する瞬間、その瞬間に立ち会いたい。自分の人生で感じた『生きている実感』を、他の人にも与えたい」

それから、Gさんの人生は動き始めた。

まず、現在の職場では「給与は下がっていいから、教育関連のプロジェクトに配置してくれないか」と交渉した。会社は応じた。

それが第一歩だ。その後、彼はNGOで教育に関わるボランティアを始め、その傍ら、教育系の大学院への進学を検討し始めた。

1年後、Gさんは職場を辞め、教育機関で働き始めていた。給与は低い。社会的なステータスも落ちた。でも「何のために働いているのか」という問いに、彼は答えを持っていた。

「今、僕は毎日が充実しています。仕事が終わって家に帰った時、『今日も意味のある日だった』と思える。その実感があるだけで、人生が全く違って見える」

それが、人生の目的を見つけることの力だ。外部からの期待ではなく、内部からの召命。その声に従うとき、人生は輝き始める。