潜在意識・催眠術・本当の自分

23-08 | 対人関係が一変した—Eさんの物語

Eさんは31歳の女性。人間関係が上手くいかないことが、彼女の最大の悩みだった。

友人関係、職場の人間関係、恋愛関係。どれもが、一定の距離で止まってしまう。相手と深い繋がりを感じることがない。むしろ、人間関係が進むにつれ「この人は、本当の私を知らない」という寂しさが増していく。

その結果、Eさんは常に「孤独」を感じていた。人間関係の中にいるのに、心は孤立している。そういった矛盾した状態。

「私は、本当のことを話せない癖があるんです」

カウンセリングで、そう言った彼女。

「子どもの頃から、親の顔色を見ながら生きてきた。親が喜ぶことをして、親が怒ることは隠す。そういった習慣が、今も続いているんだと思います」

催眠セッションを通じて、彼女の防衛メカニズムを紐解き始めた。彼女は幼い頃、親の気分に左右される家庭環境にいた。親の機嫌が良い日と悪い日で、自分の身の安全さえ脅かされた。その環境で、彼女が学んだのは「本当の気持ちを隠す」ことだ。自分の真の感情を出したら、親の怒りを買う。だから、親が喜ぶキャラクターを演じることで、身を守った。

大人になった今、その防衛メカニズムは必要ない。でも、習慣は強く、無意識のレベルで続いている。だから、誰とでも「社交的なEさん」を演じ、本当の自分は隠し続けていた。

その結果が「孤独」だ。演じている自分を受け入れてくれる人間関係は、本当のEさんを知らない。だから、一生、心の奥底には「理解されていない」という寂しさが残る。

セッションを通じて、彼女は段階的に「本当の気持ちを出す」ことに取り組み始めた。最初は恐ろしい。本当の自分が拒絶されるのではないかという恐怖。でも、催眠状態で何度も「大丈夫だ」という経験を積み重ねることで、その恐怖は薄れていった。

3ヶ月後、Eさんは親友に本当のことを打ち明けた。それまで隠していた悩みを、そのまま伝えたのだ。

親友の反応は「何で今まで言ってくれなかったの。私は、そういう君の方が好きだよ」という言葉だった。

その瞬間、Eさんは涙が止まらなくなった。「本当の自分は拒絶される」という信念が、崩れ落ちた。むしろ「本当の自分」の方が愛されたのだ。

その後、Eさんの人間関係は劇的に変わった。相手に本当のことを言えるようになると、人間関係の深さが全く違ってくる。表面的な付き合いではなく、心の繋がりを感じるようになった。

1年後、Eさんは結婚した。そのパートナーは「君の本当の部分が好きだから」と何度も言ってくれた。彼女の人生に、初めて「本当の繋がり」が生まれたのだ。