潜在意識・催眠術・本当の自分

21-15 | 催眠状態から急に覚めてしまう原因

セッション中は深い催眠に入っていたはずなのに、ある時点で急に目が覚めてしまう。これはなぜ起きるのでしょうか。

生理的な原因

1. 脳が、ある周期で「覚醒」を必要としている

人間の脳は、90分ごとに「基本的な休息・活動サイクル」を持っています。深い催眠中も、この90分周期は機能しており、その周期が一周すると、脳は自動的に覚醒へ向かおうとします。

長いセッション(1時間以上)では、このサイクルが一周するため、自動的に目が覚める人がいます。

2. 脳が、潜在的に「この状態を続けるのは危ない」と判定している

完全に無防備な状態が続くことに対して、生き物としての本能的な警戒が働きます。ある一定の時間を超えると、脳が「覚醒すべき」と判定します。

心理的な原因

1. 予期しない感情や記憶が浮上した

催眠中に、意識にのぼらせたくない感情が突然浮上すると、脳がそれを「脅威」と判定し、即座に覚醒します。これは一種の防御機構です。

2. 催眠師の言葉に違和感を感じた

「今、あなたは完全にリラックスしています」と言われているのに、実は全くリラックスしていないと感じたり、催眠師の言葉遣いに違和感を感じたりすると、その矛盾に脳が反応して目が覚めます。

3. セッションの目的を達成したと、潜在意識が判定した

例えば、「自信を持つ」という暗示を入れられていた人が、その暗示が脳に十分に刻み込まれたと、潜在意識が判定した場合です。催眠を継続する必要がないと判定し、自動的に覚醒します。

環境的な原因

1. 突然の音や刺激

セッション開始後、外で工事音がしたり、携帯電話が振動したり。催眠中は脳が敏感になっているため、小さな刺激でも反応します。

2. 身体的な不快感の増大

最初は我慢できたものの、セッションが長くなるにつれ、座位の不安定さや、気温の不快さが増し、我慢の限界を超えた時点で、脳がそれを理由に覚醒します。

急に覚める人の対処法

1. セッション時間を調整する

脳の90分サイクルを考慮し、セッションを最大50~60分に制限します。または、スローペースで、複数の短いセッション(20~30分)を何度も繰り返す方が、覚めにくくなる人もいます。

2. 催眠師に「覚める可能性」を事前に伝える

セッション前に「セッション中に目が覚めることもあります。それは失敗ではなく、あなたの脳が必要と判定した反応です」と説明します。事前の心構えがあると、実際に覚めた時も、脳が「これは正常だ」と認識し、その後の対処がスムーズになります。

3. 環境を完全に最適化する

外部音を遮音する、温度を調整する、座位を完全に快適にする。できる限りの環境調整により、覚醒の理由を減らします。

4. 「覚めてもいい」という心構え

逆説的ですが、「覚めてしまったら失敗」と考えるより、「覚めるのも、自然な過程」と受け入れます。その心構えで脳が自動的に深く入りやすくなります。

実例:急に覚める人が改善した

Pさん(女性、30代)は、セッションの中盤で必ず目が覚めてしまう悩みを持っていました。催眠師に相談すると、原因が「セッション時間が長すぎて、脳の90分サイクルに引っかかっている」ことだと判明しました。

セッション時間を45分に短縮し、代わりに週2回受けるように変更しました。すると、「最後まで深い催眠に入ったままでいられるようになった」と言うまでになりました。

つまり、「覚めてしまう」のは本人の問題ではなく、単にセッション設計の問題なのです。

実践ポイント

  • 90分サイクルを考慮したセッション時間設定
  • 環境最適化で外部刺激を最小化
  • 「覚めるのも自然な過程」という心構え
  • セッション前に「覚める可能性」について説明
  • 長いセッションより、短めのセッションを複数回