21-13 | 催眠中に思い出せない人のために
「催眠中に何も思い出せない」「催眠中に、真っ白になってしまった」という経験は、多くの人がします。これは失敗ではなく、むしろ、特定の対処法が必要なだけです。
「思い出せない」ことが起きる理由
1. 催眠が実は深く入っている
逆説的ですが、「思い出せない」「真っ白だった」という経験は、実は催眠が深く入っている証拠かもしれません。
深い催眠では、記憶が「意識的に思い出される」のではなく、無意識的に処理されます。だから、セッション中に「何も思い出せなかった」と感じても、実は脳は深いレベルで、その記憶や感情と向き合っているのです。
2. 心理的防御が作動している
「思い出したくない記憶」がある場合、潜在意識がそれを「思い出させない」という防御を作動させることがあります。これは脳の保護メカニズムで、本人が圧倒されるのを防いでいるのです。
3. 言語化できない状態
催眠中に経験していることは、言語的ではなく、感覚的・イメージ的です。「思い出す」という行為は言語的ですが、催眠中の経験は、それを超えたレベルで起きています。だから、「何も思い出せない」と感じるのです。
「思い出せない」人のための対処法
1. 期待値を変える
「思い出す」ことが目標ではなく、「感じる」「気づく」「変わる」が目標だと理解します。
思い出すことなく、行動が変わったり、心が落ち着いたりすることは、珍しくありません。実は、それが本来の目的です。
2. 催眠後の「気づき」に注目する
セッション中に「思い出せなかった」としても、セッション後、日常生活の中で、突然気づきが訪れることがあります。
例えば、「思い出せなかった」セッション後、日中に、それまで気づかなかった自分の行動パターンに気づきます。これが、実は催眠の効果なのです。
3. 催眠師に「浅い催眠」でのセッションをリクエスト
意識が比較的保たれた浅い催眠では、「思い出す」経験がしやすくなります。深さを調整することで、言語的な思い出しと、潜在意識的な処理の両者を、バランスさせることができます。
4. 別のアプローチを試す
音声ガイドだけでなく、催眠師との対話的なアプローチもあります。例えば、「今、身体の中に、何が感じられていますか」というような、質問を通じた催眠です。これなら、「思い出す」のではなく、「感じる」という別のルートで、無意識にアクセスできます。
5. セッション前後の準備
セッション前に、簡単な瞑想やマインドフルネスで、脳をリラックスさせます。セッション後も、その「感覚」を保つために、15~20分の静寂を保ちます。
「思い出す」という努力を手放すことで、逆に、無意識的な気づきが起こりやすくなります。
実例:思い出せなかった人が変わった例
Nさん(女性、40代)は、催眠セッション中に「完全に真っ白だった。何も思い出せなかった」と言っていました。彼女は「失敗だったのではないか」と心配していました。
しかし、セッション後の1週間で、彼女に変化が起きました。仕事の会議で、いつもは言えなかった自分の意見が、スムーズに口から出ました。また、長年抱いていた「自分は価値がない」という感覚が、薄れていたといいます。
つまり、「思い出せなかった」けれど、深いレベルで脳は変わっていたのです。その変化が、行動や感覚に反映されていました。
3ヶ月後、彼女は「あ、あの『何も思い出せなかった』セッションが、最も効いていたんだ」と気づいたといいます。
実践ポイント
- 「思い出す」ことが目標ではなく、「変わる」「気づく」が目標
- セッション中に「思い出せなかった」としても、後日、気づきが訪れることがある
- 浅い催眠と深い催眠を、状況に応じて使い分ける
- セッション後の数日間、「気づき」に注意を払う
- 「思い出す」という努力を手放す