潜在意識・催眠術・本当の自分

16-05 | RASを書き換える—新しい世界を見始める

これまでのことをまとめるなら、あなたの人生は次のような因果連鎖の中にあります。セルフイメージ→RAS→知覚する現実→行動→結果。そしてその結果が、セルフイメージをさらに強化するのです。

この連鎖から脱出し、新しい人生へ入るためには、どこかの段階で「介入」が必要です。そして最も効果的な介入ポイントが、RASを書き換えることなのです。

なぜなら、RASは「セルフイメージ」と「現実」の間にあるフィルターだからです。このフィルターを書き換えることで、同じセルフイメージを持っていても、全く異なる現実を見るようになり、その結果として、セルフイメージ自体も変わり始めるのです。

RASの書き換えの実効性

セルフイメージを意識的に変えようとする努力は、多くの場合失敗します。なぜなら、潜在意識が激しく抵抗するからです。

ですが、RASを書き換える場合は、異なります。RASは「注意の方向性」についてのシステムだからです。あなたがどのような情報に注意を向けるか、それを変えることは、セルフイメージ全体を変えるよりも、潜在意識からの抵抗が少ないのです。

例えば、ビジネスで成功していない人に「あなたは成功する人間だ」と言っても、潜在意識は反発します。「いや、私は成功していない」という「現実」がそれを否定しているからです。

ですが「あなたは成功の兆しをもっと意識的に探してみてください」と言えば、それは現実とも矛盾しません。実際、成功していない人の人生の中にも、小さな成功の兆しや機会は存在しているのです。単に、RASがそれに注意を向けていないだけなのです。

その小さな成功に注意を向け始めると、次第に「意外と自分は成功の要素を持っている」という気づきが現れます。その気づきが、セルフイメージを少しずつ拡張させるのです。

RAS書き換えの具体的なステップ

では、RASを実際に書き換えるには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。

ステップ1:現在のRASの設定値を把握する

あなたが現在、何に注意を向けているか。そのパターンを認識する必要があります。

これは、日々の経験を観察することで分かります。あなたがニュースを読むときに目に飛び込む情報は何か。あなたが人間関係で意識する情報は何か。そのパターンが、あなたのRASの現在の設定値です。

ステップ2:新しい注意の対象を明確にする

あなたが新しく注意を向けたい対象は何か。それを明確にしてください。

例えば「成功の可能性」「学びの機会」「自分の強さ」など。

ステップ3:新しい対象の中から証拠を探す

これが最も重要なステップです。あなたが新しく注意を向けたい対象について、あなたの人生の中に「既にある証拠」を探します。

例えば「自分の成功」を新しく注意の対象にしたいなら、あなたの人生の中から「小さな成功」を探すのです。

多くの人は「成功した経験なんてない」と言います。ですが、それは本当ではありません。あなたが朝目覚めて、その日を生き抜いたこと。それも小さな成功です。あなたが何か人のために行動したこと。それも成功です。あなたが何かを学んだこと。それも成功です。

ステップ4:毎日、その新しい対象を意識的に観察する

毎日のように、あなたが新しく注意を向けたい対象について、あなたの人生の中に「その証拠」を探す習慣をつけます。

例えば、毎晩「今日、自分が成功したことは何か」と問い直す。最初は小さなことしか見つからないかもしれません。ですが、この習慣を続けることで、RASが新しい対象に敏感に反応し始めるのです。

ステップ5:催眠による加速

催眠状態に入った後、新しい対象についての暗示を受けます。

「私は〇〇に注意を向ける。私の人生の中に、〇〇の証拠が見え始める。その証拠が、私の行動を変える」

この暗示を、潜在意識が強く受け取れるようにするのです。

実例:RAS書き換えによる現実の変化

ある会社員は「自分は昇進できない」という信念を持っていました。彼は10年間、同じポジションに留まっていたのです。

ですが、催眠セッションでRASを書き換えたのです。彼は新しく「自分の仕事での貢献」に注意を向けることにしました。

その後、彼が毎日したことは、単純なことでした。毎晩「今日、自分は何を貢献できたか」と問い直す。最初は「特に何もない」と思っていました。ですが、1週間たつと「実は、プレゼンの資料を作ったことは良い貢献だった」と気づき始めたのです。

その小さな気づきの繰り返しが、彼のセルフイメージを変え始めました。「意外と、自分は貢献している」という気づきが。

その結果として、彼の行動が変わったのです。彼は新しいプロジェクトに名乗りを上げるようになり、上司へのレポートもより詳細になり、同僚への教育もより積極的になったのです。

その行動の結果として、彼は実際に昇進の話をもらったのです。全ては、RASを書き換えることから始まったのです。

図解:RAS書き換えによる現実の創造

RAS書き換えのプロセス

【現在の状態】
セルフイメージ:「自分は〇〇できない」
RAS設定値:「〇〇できない証拠」に敏感
見える現実:「自分は〇〇ができない」
行動:チャレンジを避ける
結果:実際に〇〇ができなくなる

【RAS書き換え開始】
新しい注意対象:「自分は〇〇の要素を持っている」
毎日の意識的観察:証拠を探す習慣
催眠による暗示:新しい対象への強化
        ↓
【RAS再設定】
新しいRAS設定値:「〇〇の要素」に敏感に反応
見える現実:「意外と自分は〇〇を持っている」
行動:小さくチャレンジし始める
結果:小さな成功を経験
        ↓
【セルフイメージの拡張】
セルフイメージ:「自分は〇〇を持っている」
さらなるRAS書き換え
さらなるセルフイメージ拡張
        ↓
完全な変容

セルフワーク:あなたのRASを新しい世界にチューニングする

それでは、あなたも実際に、RASを新しい世界へ向けてチューニングしましょう。

30日間プログラム

week1:観察と認識

毎日、あなたが「何に注意を向けているか」を観察してください。

朝:「今日、私のRASは何に注意を向けそうか」と自問する 夜:「今日、私のRASは何に注意を向けていたか」と振り返る

その後、新しく注意を向けたい対象を決めてください。

例:「成功」「学び」「感謝」「可能性」など

week2:証拠探しの習慣

毎日、その新しい対象について、あなたの人生の中に「その証拠」を探す習慣をつけます。

朝:「〇〇に関する証拠は、どこにあるだろう」と問う 夜:「今日、〇〇の証拠を見つけたことは何か」と振り返る

最初は小さなことしか見つからなくても、問題ありません。

week3:催眠による加速

週3回、催眠セッションを行ってください。

深い催眠状態に入った後「私は〇〇に注意を向ける。私の人生の中に〇〇が見え始める。その〇〇が、私を新しい行動へ導く」と暗示してください。

week4:行動への転換

week2で見つけた「証拠」に基づいて、新しい行動を取り始めてください。

例えば「学びの証拠」を見つけたら、その学びに基づいて、実際に何か新しいことを試す。

「感謝の証拠」を見つけたら、その感謝を相手に伝える。

4週間後、あなたのRASが新しい世界をフィルタリングし始め、あなたの人生は劇的に変わり始めているはずです。

まとめ

RASを書き換えることは、あなたが見る世界を、そして最終的にはあなたの人生全体を変える最も強力な方法です。セルフイメージの牢獄から脱出し、新しい世界を見始めるために、RAS書き換えのプロセスを継続してください。

その過程で、あなたは「実は、自分は思っていたより能力を持っていた」「実は、可能性に満ちていた」という気づきに出会うでしょう。そしてその気づきが、あなたの人生を劇的に変え始めるのです。