潜在意識・催眠術・本当の自分

16-01 | 脳幹網様体賦活系(RAS)とは何か

あなたは毎日、膨大な情報に囲まれています。視覚情報だけでも、毎秒1000万ビット以上の情報があなたの目に入ってきています。ですが、あなたの脳はそのほぼ全てを無視しています。あなたが認識している情報は、実は全情報の0.01%以下に過ぎないのです。

では、何がそのようなフィルタリングを行っているのでしょうか。その答えが「脳幹網様体賦活系」、略してRASなのです。RASは、あなたの脳にある小さな領域ですが、その機能は非常に重要です。RASが何に注意を向けるか、何を無視するか、その決定があなたが「見る世界」を決めるのです。

つまり、RASを理解することは、あなたの現実を理解することなのです。そして、RASの働きをコントロールできれば、あなたが見る世界は劇的に変わるのです。

RASの基本的な機能

RAS(脳幹網様体賦活系)は、あなたの脳の幹部分に位置する小さなネットワーク構造です。その役割は、極めてシンプルですが、同時に極めて重要です。それは「何が重要で、何が重要でないか」を決定することです。

具体的には、RASは以下のような判断を常に行っています。

  • この情報は、私の生存に関連しているか?
  • この情報は、私の現在の関心と一致しているか?
  • この情報は、私の信念や価値観と一致しているか?

もし「イエス」であれば、RASはその情報に注意を向けます。その情報は、あなたの意識に上ってくるのです。もし「ノー」であれば、RASはその情報を無視します。その情報は、あなたの意識には上ることなく、脳の深い部分で処理されるか、完全に廃棄されるのです。

RASが作られる仕組み

では、RASはどのようにして「何が重要か」を決定するのでしょうか。その答えは、あなたの過去の経験、現在の信念、そして現在の目標にあります。

例えば、あなたが「赤い車」に興味を持つと決めたとします。その瞬間から、あなたのRASは「赤い車」を探し始めるのです。その結果として、以前は気づかなかった赤い車が、道路に溢れているように見えるようになります。

実際には、赤い車の数は変わっていません。変わったのは、あなたのRASです。あなたのRASが「赤い車」に注意を向けるようになったのです。

同じプロセスが、あなたの人生全体で起こっています。あなたが「自分は成功できない」と信じていれば、あなたのRASは「失敗の兆候」に注意を向けるようになります。その結果として、失敗の可能性ばかりが見えるようになり、成功の機会は完全に無視されるのです。

RASと脳波の関係

RASの機能をより深く理解するために、脳波との関係を知る必要があります。

あなたの脳はいつも特定の周波数で振動しており、その周波数はあなたの意識状態によって変わります。通常の目覚めた状態ではベータ波が優位です。ですが、リラックス状態ではアルファ波に、深い思考や瞑想状態ではシータ波に変わるのです。

興味深いことに、RASの機能も、この脳波に影響されるのです。ベータ波の状態では、RASはより多くの脅威や問題に注意を向けます。これは進化的に見て理にかなっています。あなたが活動しているときは、危険を警戒する必要があるからです。

ですがアルファ波やシータ波の状態では、RASの機能が変わります。脅威より機会に、問題より解決策に、注意を向けるようになるのです。これが、催眠や瞑想が人生を変える力を持つ理由の一つです。その状態で新しい目標を植え付けれb、RASは永続的にその目標に関連する情報に注意を向けるようになるのです。

RASの具体的な影響例

実生活でRASがどのような影響を与えているか、いくつかの例をお話しします。

例1:出産予定の夫婦

ある夫婦が子どもを持つことを決めました。その瞬間から、彼らのRASは「子ども関連の情報」に敏感になります。街を歩いていても「あ、子ども用のベビーカー」「子どもの遊び場」などが目に飛び込むようになるのです。それまでは、これらの情報は完全に無視されていたはずです。

例2:ビジネスの視点の変化

ある起業家が「この業界のニッチな市場チャンス」に気づきました。その瞬間から、彼のRASはそのニッチ市場に関連する情報に敏感になります。新聞を読むときも、インターネットを見るときも、その関連情報だけが目に飛び込むようになるのです。その結果として、彼は短期間でそのニッチ市場に関する膨大な情報を収集することができたのです。

例3:心配性から来るRASの機能不全

反対に、ある不安症の人のRASを見ると、常に「危険信号」に敏感になっています。電車に乗るときも「テロの危険」「火災の危険」などばかりが目に飛び込みます。その結果として、彼の世界は「危険に満ちた世界」に見えるのです。実際には、その世界は危険に満ちていないのに、彼のRASがそのように解釈しているだけなのです。

図解:RASのフィルタリング機能

RASの情報フィルタリングプロセス

  1. 外部世界から、毎秒1000万ビットの情報が流入する
  2. RAS(脳幹網様体賦活系)が「何に注意を向けるか」を決定する(判断基準:生存に関連しているか/現在の目標と関連するか/信念と一致しているか)
  3. 注意を向けられた情報(約0.01%)だけが意識に上る
  4. 無視された情報(約99.99%)は潜在意識へ行くか、廃棄される

あなたが「見ている世界」は、実は外部世界そのものではなく、RASがフィルタリングした世界です。

セルフワーク:あなたのRASが現在フィルタリングしているものを発見

それでは、あなたのRASが現在何に注意を向けているか、発見してみましょう。

課題1:あなたが最近よく目にする情報

この1週間で、あなたが何度も見かけた情報は何ですか?例えば、同じキーワード、同じテーマ、同じ種類のニュース、同じタイプの人など。

3つ以上、列挙してください。

例:「副業」「起業」「成功事例」

課題2:あなたが完全に無視している情報

同じく1週間で、あなたが「意識に上らなかった情報」は何ですか?これは難しい質問かもしれません。なぜなら、あなたは無視している情報を認識していないからです。

その代わりに、以下の問いかけで考えてみてください。「もし私が〇〇に興味を持ったら、何が見えるようになるか」

例:「もし私がワインに興味を持ったら、ワイン関連の情報ばかりが目に飛び込むようになるだろう。だが現在、私はワイン情報を全く意識していない」

課題3:あなたのRASの「設定値」を理解する

課題1と2から、あなたのRASが現在、何を重要だと判断しているか、見えてくるはずです。それをまとめてください。

例:「私のRASは『成功』『副業』『起業』に敏感に反応している」

課題4:あなたのRASを書き換える

あなたが新しく注意を向けたい対象は何ですか?それを明確に定義してください。

例:「私は『顧客の幸福』に関する情報に注意を向けたい」

課題5:RASの書き換えを実行する

催眠状態に入った後、その新しい対象に対する「関心」を植え付けてください。

「私は〇〇に深い関心を持っている。〇〇に関する情報が目に飛び込むようになる。〇〇についての新しい可能性が見えるようになる」

この暗示を、毎日、繰り返してください。1週間から2週間で、あなたのRASが書き換わり、新しい情報が見えるようになり始めます。

まとめ

RASは、あなたが見る世界を決める「世界のゲートキーパー」です。あなたが見ている「現実」は、実は外部の世界ではなく、RASがフィルタリングした世界なのです。

そして重要なのは、RASは常に変化可能だということです。あなたが新しい目標を持ち、新しい信念を植え付ければ、RASは永続的に新しい情報に注意を向けるようになるのです。その結果として、あなたが見る世界は、劇的に変わるのです。

催眠を使ってRASを書き換えることで、あなたは完全に異なる現実を創造することができるのです。ぜひ、このセルフワークを通じて、その力を体験してください。