13-08 | 自分を傷つける行動—自傷とその本質
はじめに
ここが、第13章の最終記事です。
このテーマは「自分を傷つける行動」—つまり「なぜ、人間は『自分を傷つけるようなことをするのか』」についてです。
これは「身体的な自傷行為(カッティングなど)」だけに限りません。
むしろ「多くの人が『無意識のうちに『自分を傷つけている』」という現象について、見ていきます。
「自傷」とは何か
一般的には「自傷行為」は「身体を傷つけるもの」(切る、殴る、など)を指します。
でも、心理学的には「自傷」は「もっと広い範囲」を指します。
自傷の例:
- 身体的自傷:自分の身体を傷つける行為
- 行動的自傷:自分に悪い結果をもたらす行動をし続けることを選ぶ
- 関係的自傷:自分を傷つけるような人間関係を選ぶ
- 言語的自傷:自分を激しく批判する、非難する内的な声
- 社会的自傷:自分の可能性を制限し、ひきこもるなど
つまり「自分を傷つける『方法』は『多様』」なわけです。
自傷の最大のパラドックス
ここで「最大のパラドックス」があります。
なぜ「人間は『自分を傷つけるようなことをするのか』」
一見「自己破壊的に見える」その行為は「実は『自己保護』の形態」だからです。
自傷のメカニズム
では「自傷がなぜ『自己保護』になるのか」
いくつかのメカニズムがあります。
メカニズム1:『悪いことが起こること』への支配感
誰かに傷つけられるより「自分で自分を傷つけた方が『少なくともコントロール可能』」という心理が働きます。
つまり「誰かに『支配される』ことの恐怖」より「自分で『支配できる』ことの方が『安心』」に感じられるわけです。
子供時代に「予測不可能な親からの虐待」を受けた人が「大人になって『自傷を行う』」というのは「少なくとも『自分は自分を支配できる』という感覚を持つため」なんです。
メカニズム2:『痛み』による『解離の中断』
自傷によって『痛み』が生じます。
その『痛み』は『感覚的な実感』をもたらします。
解離(自分の身体が『自分のもの』でない感覚)を持っている人にとって「その『痛み』は『自分が存在している』という確認」になるわけです。
つまり「自傷は『自分が存在している』ことを確認するための行為」になっているわけです。
メカニズム3:『感情の表現』としての自傷
子供時代「感情を表現することが『許されなかった』人」は「大人になって『その『抑圧された感情』を『身体を通じて表現』する」という行為に出ることがあります。
つまり「自傷は『言葉では表現できない『激しい感情』を『身体で表現』する方法」になっているわけです。
メカニズム4:『自分を傷つけること』による『罪悪感の再現』
子供時代「自分が『存在することが親に悪影響を与えている』と学習した人」は「大人になって『自分を傷つけることで『その『罪悪感』を『確認』する』」という行為に出ることがあります。
つまり「自傷は『自分は悪いから『傷つけられるべき』』という『根本的な信念』の『表現』」になっているわけです。
実例:自傷のパターンの理解
田中さん(28才、女性)は「リストカッティング」を中学時代から続けていました。
表面的には「精神不安定」に見えるかもしれません。
でも「セッションを通じて深く探ると『別の機能』が見えてきた」んです。
田中さんの場合:
子供時代、母親から「あなたがいなければ、私はもっと幸せだった」と言われていたんです。
その言葉から「自分は『存在することが『母親に害を与えている』」という根本的な信念が形成された。
その信念が「ずっと『自分を傷つけるべき』という『無意識的な命令』を作り続けていた」わけです。
中学時代「カッティング」を始めた時「何か『解放感』を感じた」と田中さんは言いました。
それは「『自分が『罪悪感に基づいて『傷つけられるべき』という『信念』を『実行』することで『その『信念』を『確認』する』という『ねじれた安心感』」が生じていたからです。
つまり「自傷は『自己破壊』ではなく『自分の『根本的な信念』の『表現と確認』」だったわけです。
自傷的行動の多様な形態
身体的な自傷のみならず「自傷的な行動パターン」は「非常に多様」です。
パターン1:自分を『貶める』行動
わざと『悪いことをされるような状況』を作る。 わざと『馬鹿にされるような』ことを言う。 わざと『失敗するような』行動を取る。
パターン2:『自分を制限する』行動
可能性のある選択肢を『わざと避ける』。 『できるはずの』ことを『できない』と決めつける。 『欲しい』ものを『わざと手に入れない』。
パターン3:『依存と被害』のパターン
わざと『自分を傷つける人』を選ぶ。 その人に『支配される』ことを『引き寄せる』。 その『被害』の中に『ねじれた安心感』を見つける。
パターン4:『自分責任化』
何かが『うまくいかない』時に『すべては自分のせい』だと思う。 『他者の悪意』も『自分が悪かったから』だと解釈する。 その『自責』の中で『安定感』を保つ。
自傷への対応
自傷の問題に対応するために「重要な点」があります。
対応1:『自傷を『悪い』と判定しない』
自傷を『悪い』『すぐにやめるべき』と判定することは「かえって『強化』する」ことになります。
むしろ「その『自傷』が『どんな『機能』を果たしているのか』を理解すること」が大切です。
対応2:『その『機能』に『代わる』方法を見つける』
例えば「『痛みによる『解離の中断』」という『機能』を持つ自傷であれば「その『代わり』になる『痛みを伴わない『感覚実感』」を見つけることが大切です。
例えば「冷たい水に手を浸す」「強く握る」など。
対応3:『根本的な『信念』に対応する』
自傷が「『自分は傷つけられるべき』という『根本的な信念』」から来ている場合「その『信念』を『癒す』こと」が必須です。
つまり「『なぜ、あなたはそう信じているのか』『その信念は『本当』なのか』」という根本的な問いに向き合うことです。
セルフワーク:あなたの『自傷的行動』を見つける
紙とペンを用意してください。
質問1:あなたが『無意識のうちにしている『自傷的な行動』は何ですか?
身体的でなくても『自分を傷つける』ような行動で『何度も繰り返している』ものはありませんか?
例:
- 『失敗するような』選択を繰り返す
- 『自分を傷つける』人間関係を選ぶ
- 『可能性を制限する』決定をする
- 『自分を『悪い奴』と評価し続ける
質問2:その『行動』で『何が『安心』になっているのか』を見つける
その『自傷的な行動』が『なぜ』続いているのか。
それは『何か『安心』『安定』『確認』を与えているのではないか』
それが『何か』を特定してください。
質問3:その『機能』に『代わる』方法があるか、考える
例えば『痛みによる『実感』が必要なら『代わりになる『感覚実感』は何か』。
『自分は『悪い』という『信念』を『確認』したいなら『代わりになる『方法』は何か』。
質問4:その『根本的な信念』は『本当に『真実』なのか』
「自分は『傷つけられるべき』」「自分は『悪い』」「自分は『価値がない』」
その『信念』は『子供時代のメッセージ』の『再現』では『ないか』
その『メッセージ』は『本当に『真実』なのか』を問い直してください。
自傷的行動からの解放
自傷的行動から解放されるプロセスには「時間」と「支援」が必要です。
特に「重度の身体的自傷」の場合「医学的な支援」も必須です。
でも「軽度から中度の自傷的行動パターン」の場合「催眠セッションを通じ『根本的な信念の変更』と『代わりの機能を果たす方法の学習』」が有効です。
催眠セッションでは:
- 「あなたが『傷つけられるべき』という『信念』が『どこから来た』のか」を理解する
- 「その『信念』を『今も『信じるべき』か」を問い直す
- 「『新しい『信念』『あなたは『存在するだけで『価値がある』」を潜在意識に刻み込む
- 「『自傷の『機能』を『別の方法で『満たす」という『新しい行動パターン』を学習する
このプロセスを通じて「自傷的行動は『段階的に『減少』していく」わけです。
まとめ
自分を傷つける行動—自傷とその本質:
- 自傷は『一見『自己破壊』に見えるが『実は『自己保護』の形態』
- 自傷には『複数の『隠れた『機能』がある—『支配感』『実感』『感情表現』『信念の確認』
- 身体的自傷のみならず『多様な『自傷的行動パターン』が存在
- 自傷を『悪い』と判定するのではなく『その『機能』を理解すること』が大切
- 催眠セッションを通じ『根本的な『信念の変更』と『代わりの機能の学習』ができる
第13章を終えて
第13章「メンタルの傷と催眠による回復」では「トラウマと思い込みの関係」から始まり「自傷的行動」まで『メンタルの傷』の『多様な側面』を見てきました。
重要なメッセージは:
1. メンタルの傷は『多様で『層状』である
大きなトラウマもあれば、小さな傷の積み重ねもある。それらが『複雑に絡み合っている』。
2. その傷は『無意識的な行動パターン』を『生み出す』
そして『その行動パターン』が『現実を形成し』『その現実が『傷を強化する』という『循環』がある』。
3. その『循環』から『脱出』するには『気づき』と『新しい体験』が必要
つまり『頭での理解』だけでなく『潜在意識レベルで『新しい情報を『受け取る』』ことが重要。
4. 催眠は『その『潜在意識へのアクセス』を『可能にする『強力な道具』
催眠セッションを通じ『安全に『深い層の『傷』と『向き合い』『癒す』ことができる』。
次に『最終的な『まとめ』を『書きます』。つまり『この全3章『全18記事』を通じ『何が『伝えたかったのか』『そして『読者は『これからどうすればいいのか』』という『実践的な『ガイド』です』。