潜在意識・催眠術・本当の自分

06-10 | 深層意識と向き合うことの価値—なぜそれが必要なのか

あなたは、自分のことを、どれくらい知っていると思いますか?

「自分のことは、自分が一番よくわかっている」。多くの人は、そう思っています。

ですが、本当に、そうでしょうか。

なぜ、同じ失敗を、何度も繰り返してしまうのか。なぜ、頭ではわかっているのに、行動できないのか。なぜ、特定の場面で、いつも同じように感情が乱れるのか。

これらの「なぜ」に、自分で答えられる人は、意外と少ないのです。

その答えは、あなたの「深層意識」の中にあります。

私は催眠セッションを通じて、のべ3000件以上の催眠を行ってきました。その仕事は、まさに、人の深層意識と向き合う仕事です。

今日は、深層意識と向き合うことに、どんな価値があるのか。なぜ、それが必要なのか。お話ししていきます。

心は「氷山」のようなもの

まず、私たちの心の仕組みを、お話しします。

人の心は、よく「氷山」にたとえられます。

海の上に出ている部分。これが、「顕在意識」です。普段、あなたが「自分の意識」として自覚している部分です。

ですが、氷山の本体は、海の下にあります。水面下に隠れた、巨大な部分。これが、「深層意識」です。

そして、驚くべきことに、心全体に占める割合は、顕在意識がほんのわずか、深層意識が大部分を占めると言われています。

つまり、私たちが「自分」だと思っている部分は、心のほんの一部に過ぎないのです。

では、残りの大部分、深層意識には、何があるのでしょうか。

そこには、過去の記憶、刷り込まれた思い込み、抑え込んだ感情、自動的なパターンなどが、ぎっしりと詰まっています。

そして、この深層意識が、実は、あなたの人生の大部分を、動かしているのです。

深層意識が、人生を動かしている

ここが、とても大切なポイントです。

あなたの行動、感情、選択の多くは、実は、顕在意識ではなく、深層意識によって動かされています。

例えば、ダイエットを決意したのに、つい食べてしまう。これは、顕在意識では「痩せたい」と思っていても、深層意識が別のことを求めているからです。

例えば、人前で話すと、頭が真っ白になる。これは、過去のある経験が、深層意識に「人前=危険」という反応を刻んでいるからです。

頭で「こうしたい」と思っても、深層意識が「ノー」と言えば、人は動けません。

ですから、表面的な「決意」や「努力」だけでは、人生は、なかなか変わらないのです。

本当に人生を変えたいなら、この、人生を動かしている深層意識に、アプローチする必要があります。

なぜ、自分では深層意識に届きにくいのか

「では、自分で深層意識を変えればいい」と思うかもしれません。

ですが、これが、なかなか難しいのです。

なぜなら、深層意識は、顕在意識の「壁」によって、守られているからです。

普段、私たちの顕在意識は、絶え間なく働いています。考え、判断し、分析する。この活発な顕在意識が、いわば「門番」のように働いて、深層意識への入り口を、塞いでいるのです。

ですから、「深層意識を変えよう」と頭で頑張っても、その頑張り自体が顕在意識の働きなので、深いところには、なかなか届きません。

40代の女性・Oさんのセッションでのことです。

Oさんは、何冊もの自己啓発書を読み、「自分を変えよう」と努力してきました。ですが、何年たっても、根本的な部分が変わらない。「知識は増えたのに、自分は変わらない」と、悩んでいました。

これは、知識が顕在意識にとどまり、深層意識まで届いていなかったからです。

頭で理解することと、心の深いところで変わることは、まったく別のことなのです。

催眠は、深層意識への扉を開く

ここで、催眠の話をしましょう。

催眠状態とは、顕在意識の「門番」が、ゆるやかにお休みする状態です。

リラックスして、頭の活発な働きが静まると、深層意識への扉が、自然に開いていきます。その状態でなら、深層意識に、直接アプローチすることができるのです。

先ほどのOさんも、催眠の中で、ある気づきにたどり着きました。

彼女が変われなかった根っこには、「変わったら、今の自分を否定することになる」という、深層意識の抵抗があったのです。

その抵抗に気づき、深層意識のレベルで、それを優しく解きほぐしていった結果、Oさんは、ようやく、変わり始めました。

これまで何年も読んだ自己啓発書の知識が、ここで初めて、本当に「自分のもの」になったのです。

Oさんは、こう言いました。「知識を、頭から心に、降ろせた気がします」。

これが、深層意識と向き合うことの価値です。

深層意識と向き合う、3つの価値

深層意識と向き合うことには、大きく、3つの価値があります。

一つ目は、「本当の自分を知る」ことです。

深層意識には、あなたが普段、気づいていない、本当の願いや感情があります。それと向き合うことで、「自分が本当は何を望んでいるのか」が、見えてきます。

二つ目は、「同じパターンから抜け出す」ことです。

繰り返してしまう失敗、いつも同じように乱れる感情。その根っこは、深層意識にあります。そこにアプローチすることで、長年のパターンから、抜け出せるようになります。

三つ目は、「根本から変わる」ことです。

表面的な努力ではなく、人生を動かしている深層意識のレベルで変わるからこそ、変化が、本物になり、長続きするのです。

あなた自身でできる問い直し

ここで、あなた自身で、深層意識に少し触れるための、セルフワークをお伝えします。

まず、最近、自分でも「なぜだろう?」と思った、自分の反応を、一つ思い出してください。

「なぜか、あの人にはイライラする」 「なぜか、あの場面では緊張する」 「なぜか、いつも同じ失敗をする」

それが見つかったら、こう問いかけてみてください。

「この反応は、いつから始まったのだろう?」 「これと似た感覚を、過去に味わったことはないだろうか?」

すると、ふと、過去のある場面が、思い浮かぶことがあります。

その場面こそが、今のあなたの反応の、根っこになっている可能性があります。

ただし、自分一人で深く掘り下げるのは、限界があります。だからこそ、催眠という技術が、力を発揮するのです。

ぜひ、まずは、「自分の中には、自分の知らない部分がある」と気づくことから、始めてみてください。

あなたの中には、まだ知らない宝がある

最後に、大切なことをお伝えします。

深層意識と向き合うことは、決して、怖いことではありません。

確かに、そこには、抑え込んできた感情や、つらい記憶もあるかもしれません。ですが、それと同時に、あなたがまだ気づいていない、たくさんの「宝」も眠っています。

本当の願い。秘めた可能性。本来の優しさや強さ。

それらは、すべて、あなたの深層意識の中に、ずっと存在してきたものです。ただ、顕在意識の壁の向こうに、隠れていただけなのです。

私が催眠を通じて見守ってきたのは、深層意識と向き合うことで、本当の自分を取り戻していく人たちの姿でした。

これまで知らなかった自分に出会い、長年のパターンから抜け出し、人生が、根本から変わっていく。そうした変化を、何度も見てきました。

催眠という技術は、その深層意識への扉を、優しく、安全に開く手助けをすることができます。あなた一人では届きにくい、心の深いところへ、ご一緒することができるのです。

あなたの中には、まだ、あなた自身が知らない、豊かな世界が広がっています。

ぜひ、その世界に、目を向けてみてください。そこと向き合うことができたとき、あなたの人生は、本当の意味で、変わり始めます。