潜在意識・催眠術・本当の自分

06-06 | 自分を信頼することの意味—世界は変わるのか

あなたは、自分を信頼できていますか?

「自分を信じよう」「自分を大切にしよう」。そんな言葉は、よく耳にします。ですが、いざ「自分を信頼している?」と問われると、自信を持って「はい」と答えられる人は、意外と少ないものです。

多くの人は、心のどこかで、自分を疑っています。

「自分の判断は、間違っているかもしれない」 「自分には、できないかもしれない」 「自分なんて、たいしたことない」

私は催眠セッションを通じて、のべ3000件以上の催眠を行ってきました。その中で、自分を信頼できないことが、いかに多くの苦しみを生んでいるかを、目の当たりにしてきました。

今日は、「自分を信頼する」とは、本当はどういうことなのか。そして、それによって、本当に世界は変わるのか。お話ししていきます。

なぜ、私たちは自分を信頼できないのか

そもそも、なぜ私たちは、自分を信頼できなくなるのでしょうか。

その多くは、過去の経験から来ています。

子どもの頃、自分の意見を否定された。失敗して、責められた。「あなたには無理よ」と言われた。

そうした経験が積み重なると、人は、だんだん自分を信じられなくなっていきます。

そして、もう一つ。自分を信頼できない人は、外側に「正解」を求めるようになります。

  • 「あの人は、どう思うだろう?」
  • 「世間では、どうするのが正しいんだろう?」
  • 「専門家は、何と言っているんだろう?」

いつも、自分の外に答えを探します。自分の内側から湧いてくる声よりも、外の声を優先するのです。

ですが、外に答えを求め続ける限り、人は、いつまでたっても安心できません。なぜなら、自分の人生の主導権を、いつも誰かに預けてしまっているからです。

自分を信頼するとは「完璧になる」ことではない

ここで、大きな誤解を解いておきたいと思います。

「自分を信頼する」というのは、「自分は完璧だ」と思うことでは、ありません。

「自分はいつも正しい」と信じることでも、ありません。

そうではなく、自分を信頼するとは、こういうことです。

「私は、間違えることもある。失敗することもある。でも、そのときは、ちゃんと立て直せる。私は、自分の力で、なんとかやっていける」。

つまり、完璧な自分を信じるのではなく、「不完全な自分が、それでもやっていける」と信じることなのです。

ここが、とても大切なポイントです。

自分を信頼できない人は、「失敗してはいけない」と思っています。だから、挑戦できない。動けない。

ですが、本当に自分を信頼している人は、「失敗しても大丈夫」と知っています。だから、安心して挑戦できるのです。

あるセッションの事例

30代の男性・Jさんのセッションでのことです。

Jさんは、独立して事業を始めたいという夢を持っていました。ですが、何年たっても、一歩を踏み出せずにいました。

「失敗したら、どうしよう」「自分には、できないかもしれない」。その不安が、彼を縛っていたのです。

催眠の中で、Jさんは、自分が「失敗を絶対に許せない」と思い込んでいることに気づきました。その根っこには、子どもの頃、テストで悪い点を取って、父親に強く叱られた記憶がありました。

「失敗=自分の価値がなくなる」。その思い込みが、彼を動けなくしていたのです。

私はJさんに、深い催眠状態の中で、こう問いかけました。「もし、失敗しても、あなたという人間の価値は変わらないとしたら?」。

Jさんの表情が、ゆっくりと、緩んでいきました。

「失敗しても、自分は自分のままなんだ」。そう感じられたとき、彼の中で、何かが変わりました。

その後、Jさんは、独立への一歩を踏み出しました。「うまくいくかどうかはわからない。でも、失敗しても、自分はちゃんと立て直せる」。そう思えるようになったからです。

自分を信頼すると、世界が変わって見える

では、自分を信頼すると、本当に世界は変わるのでしょうか。

私の答えは、「はい」です。

ただし、外側の世界そのものが、魔法のように変わるわけではありません。

変わるのは、あなたが世界を「どう見るか」、そして、世界に「どう関わるか」です。

自分を信頼していないとき、世界は、危険で、自分を脅かすものに見えます。人の目が怖い。失敗が怖い。だから、縮こまって、防御的になります。

ですが、自分を信頼できるようになると、世界の見え方が変わります。

「何があっても、自分は対応できる」と思えると、世界は、それほど怖いものではなくなります。人と関わることも、新しいことに挑戦することも、できるようになります。

すると、不思議なことに、外側の世界も、本当に変わり始めるのです。

あなたが前向きに関われば、周りの人の反応も変わる。あなたが行動すれば、新しい出会いやチャンスが生まれる。

つまり、あなたの内側が変わることで、外側の世界も、連動して変わっていくのです。

自分を信頼できないと、人も信頼できない

自分を信頼することには、もう一つ、大切な側面があります。

それは、自分を信頼できない人は、他人も信頼できなくなる、ということです。

少し、意外に感じるかもしれません。ですが、これは、本当によくあることです。

自分を信頼できない人は、心のどこかで、いつも不安を抱えています。「裏切られるのではないか」「利用されるのではないか」と。

その不安が、他人への不信となって、現れるのです。

人を疑う。本音を見せられない。心を開けない。そうやって、本当の人間関係を、築けなくなっていきます。

40代の女性・Tさんは、誰のことも、心から信頼できずにいました。友人にも、家族にも、どこか壁を作ってしまう。「いつか裏切られる」と思って、心を開けなかったのです。

催眠の中で、Tさんは、その不信の根っこが、自分自身への不信にあることに気づきました。

自分を信じられないから、「こんな自分が、人に受け入れられるはずがない」と思い込む。だから、先に壁を作って、自分を守ろうとしていたのです。

セッションを通じて、Tさんが、少しずつ自分を信頼できるようになると、不思議なことが起きました。

人にも、心を開けるようになったのです。すると、相手も、心を開いてくれるようになりました。

自分を信頼することは、自分のためだけではありません。人と、本当の意味でつながるための、土台でもあるのです。

あなた自身でできるセルフワーク

ここで、あなた自身で、自分への信頼を育てるためのセルフワークをお伝えします。

一つ目は、「過去の乗り越えた経験を思い出す」ことです。

これまでの人生で、あなたが乗り越えてきたことを、思い出してみてください。

つらかったこと。難しかったこと。でも、なんとか乗り越えてきたこと。

きっと、たくさんあるはずです。

あなたは、これまでも、ちゃんと自分の力で、人生を歩んできました。その事実こそが、自分を信頼する根拠になります。

二つ目は、「小さな約束を、自分と守る」ことです。

「毎朝、コップ一杯の水を飲む」「寝る前に、5分だけ本を読む」。どんな小さなことでも構いません。

自分との約束を守るたびに、「私は、自分と決めたことを守れる」という実感が積み重なります。その積み重ねが、自分への信頼を、少しずつ育てていきます。

ぜひ、今日から、一つだけ、小さな約束を始めてみてください。

あなたは、信頼に値する人だ

最後に、大切なことをお伝えします。

あなたは、本来、自分を信頼するに値する人です。

これまで、いろいろな経験の中で、自分への信頼を失ってきたかもしれません。誰かの言葉で、傷ついてきたかもしれません。

ですが、それは、あなたに価値がないからでは、ありません。ただ、信頼の感覚が、覆い隠されてしまっただけなのです。

私が催眠を通じて見守ってきたのは、自分を信頼できなかった人たちが、少しずつ、自分を取り戻していく姿でした。

催眠という技術は、自分への信頼を奪っている過去の記憶や思い込みを見つけ出し、それを優しく書き換える手助けをすることができます。深層意識のレベルで、「自分は大丈夫だ」という感覚を、取り戻していくことができるのです。

自分を信頼できるようになると、世界は、確実に変わります。

それは、外側が変わるからではなく、あなた自身が変わるからです。そして、あなたが変われば、世界は、それに応えるように、変わっていきます。

ぜひ、まずは、これまで乗り越えてきた自分を、認めてあげてください。あなたは、ちゃんとやってきました。これからも、きっと、やっていけます。その信頼が、あなたの世界を、変えていきます。